お米の知識

COP10提言(生物の多様性を育む農業)

2010年10月11日

生物多様性条約台10回締約国際会議へ、第1回生物の多様性を育む農業国際会(ICEBA/1)からの提言にお米マイスターも推進してます。

2010年7月2日から4日まで、農業の生物多様性を推進しようとする日本・韓国・中国の農業者・研究者・消費者・自然保護活動家400人が日本国兵庫県豊岡市に集まり第1回生物の多様性を育む国際会議を開催しました。
この会議はこれまで上記3カ国の関係者が年1回ずつ行ってきた第11回日韓中環境創造型稲作技術会議、及び第5回日韓田んぼの生きもの調査交流会を統合して開催された会議である。
この会議において、参加者は以下の結論を得て、生物多様性条約第10回締約国会議に対して、以下の提言をおこないました。

1.水田を中心としたアジアの農業が育んできた生物の多様性

中国長江流域を中心に何千年の長さに亘って水田農業が営まれ、多様な生き物と多くの人々を養ってきました。
毎年、一定期間湛水される水田はドジョウやフナなどの淡水魚やイトミミズ・ユスリカ、タガメ・ヤゴといった水生昆虫、そしてカエルなどの両生類などさまざまな水辺の動植物を育んできました。
そしてその数は日本だけでも5668種に及ぶことが農業者・研究者・市民の共同調査で明らかになりました。

2. 自然の循環機能を無視した近代農業が破壊した生物の多様性

豊かな生き物の住みかであった水田が、その機能を失ったのは20世紀後半以降で、水田の長い歴史の中では極めて短い期間です。
水田生物の多様性が崩壊し始めたのは、化学合成農薬の使用が始まってからで、水田の基盤整備や、それに伴う河川や水路の大規模な改修工事によって決定的なダメージを受けました。
兵庫県豊岡市(日本)に最後まで生存したコウノトリはこうした近代農業の普及によってその最後の命を奪われ絶滅しました。

3. 生物の多様性を回復する農業者の挑戦

生物の多様性を育む農業国際会議に参集した、東アジア各国の農業者は水田農業がふたたび多様な生き物の住みかとしての機能を回復するために化学農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術を使わずに、豊かな穀物の生産を可能にする技術の在り方を求め、10年間にわたって交流を進めてきました。

さらに4年に及ぶ、市民による田んぼの生きもの調査交流を進める中で、生物の多様性を支えてきたのは、伝統的な農民の知恵であり、日常活動であることが明確になりました。
各国政府及び関係機関に対して、これまでの経済的評価で測ることのできないこうした日常の生物の多様性を向上させる行為を正しく評価し、その行為を支援する政策を採用するよう要請します。

私たちは、生物の多様性に富んだ土地で健康な苗を、適切な生育空間を保ちながら育て、生き物の活性を高める生態系を維持することに熟練すれば、一定以上の生産性を持続的に維持できる農業が可能であることを見出してきました。

水田の湛水状態を長期に維持することや、時に畑として使用し、豊かな自然の循環機能や生態系の健全な復活に成功すれば、生産力を維持しながら地球資源の浪費を抑制し、CO₂の大幅な削減が可能であることを確認してきました。

4. 生物の多様性を育む農業の啓発・普及

生物の多様性を育む農業国際会議に参集したアジアの農業者は、その豊かな環境を維持増進しそれを活用するための農業のより一層の発展と普及のために尽力することを決議しました。

私たち参加者一同は、生物の多様性の維持を願う世界各国の人々に、農業が環境破壊産業から環境を創造する産業に転換することが可能であることを確認し、持続可能な農業の完成に向けて努力することを提言いたします。

また、逼迫する食料危機に世界各国が食料基地を海外に求め、貴重な自然を破壊しながら、自国の食料を確保しようとしている潮流の先に、人類の未来はないことを認識し、各国がそれぞれの国の自然資源とその循環機能を活かした持続可能な農業の推進に向けて具体的な行動をとることを強く要請します。

2010年7月4日
第1回 生物の多様性を育む国際会議
第11回 日韓中環境創造型稲作技術会議
第5回 日韓田んぼの生きもの調査交流会
参加者 一同