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新たな農業ビジネス(パネルディスカッション)
2012年02月02日
TPP参加を見据えた今後の農業の展望についてパネルディスカッションが開催され、販売者の立場からパネリストとして参加してきました。
日時: 平成24年2月2日(木)14:00~17:15
場所: 独立行政法人国立女性教育会館(埼玉県嵐山町)
【基調講演】
「新たな農業ビジネスへの挑戦」 (米・食味鑑定士協会会長)
【パネルディスカッション】
「新たな農業ビジネスの可能性と展開方法」
コーディーネーター:総合地球環境学研究所 教授 パネリスト:JA代表、生産者代表、消費者代表、販売者代表(お米マイスター)
埼玉県、埼玉県農業機械化経営者協議会など230名ほどが参加しました。
パネルディスカッション概要
テーマは、我が国農業(埼玉県農業)が生き残り、発展するためにはどのようにしたら良いか、国外からの輸入品に対抗する方策は、日本農業に与える影響、農産物の流通に与える影響、消費者としての意見など
お米マイスターの提言
日本の農業の今後について
米消費量の減少や生産者の高齢化などを背景に、今、中国産米の品質・食味が向上し、外食産業など外国産米の一部取り入れも始まっている。そのような状況の中、産地間競争や個々販売で売り先の奪い合いをしている状況ではありません。
埼玉の地域によっては、未検査米が流通され、業務用として多く使われていることもあるので、数年後にはその地位を奪われてしまうかもしれません。
まずは、それぞれの専門性を高め、統一ブランド、品質向上
≪集団化できる仕組みづくり≫
美味しくて、固定のお客様がついても、途中で在庫がなくなってしまったり、品種、品質、食味、玄米調整のバラつきを抑えなければなりません。
方法としては、きっかけがないと大変難しいので、新しい品種(例えば高温耐性品種)を導入する時、生産者、JA、行政など一体となって協議をし、ブランド基準を作り、全体で取り組める仕組みづくりを今から準備をした方が良いと思います。時間がかかることなので。
餅は餅屋(生産過程を分割し、分担した工程を専門的に作業)
営農指導など専門的な意見を取り入れた適切な時期の田植えと稲刈り、品種・食味・栽培ごとの区分集荷、高性能な機械によるモミ乾燥、玄米選別などの玄米調整することでより専門的な作業に従事できるように。
【生産者】
慣行栽培から生き物を育む農法・食味を意識した栽培へ移行、適期収穫、機械の集中投資(播種から収穫まで)
稲作はただお米をつくる為だけのものではなく、生き物を育み、豊かな水資源を守り、気温の上昇を防ぐなど、様々な役割を果たしてくれます。日本で初めて世界農業遺産に登録された佐渡のように、地域全体で環境保全(再生)にも取り組み、次の世代に残していかなければなりません。それが「瑞穂の国」の強みだと思います。
【出荷事業者】
営農指導、収穫後の調整、保管、流通
【販売事業者】
精米・選別による高品質・一定化、消費者に合ったお米の提案・販売
若い農業後継者確保について
若い農業後継者の確保のためには、農業で儲かり、生活、家族が養えれば増えると思います。それには、コストを抑えながら品質、食味、環境のことを考え、作付面積を増やし、収穫量を増やさなければ、人口減少、米価の値下がり、外国産米にはついていけません。
農用地の集団化(農地整備)
大規模に生産されているほとんどが、連続した田んぼではなく、分散していたり、不整形な農地で生産性も落ち、さらに多大な労力を費やしています。分散した農地・不耕作な農地を整備し集団化することで、ある程度の生産性向上をはかることも必要です。
それには、農地法も改正をしなければならないでしょうし、生産者の理解も重要となります。
生産者、農協(特に単協)、行政が一体となって取り組む必要があり、地域全体で同じ方向性に取り組むことが持続可能な農業のかたちの一つだと思います。
お米の消費はまだ下がり続ける
高齢化社会、食の欧米化でお米の消費はまだ下がり続けると思いますが子供たちへの食育活動、新しい用途など、もっと多くの人にお米の魅力を伝え、創造していかなければなりません。