お米マイスターの日誌

セシウム回収効果(植物による除染)

2011年10月04日

8月29日 汚染レベルの高い南相馬市に、除染実験のため播種していた「ひまわり」を収穫。ひまわりや雑草が茂ってた土壌を採取し、放射性物質検査を実施しました。

農林水産省の実証実験では「ひまわりの除染効果が少なかった」という結果が公表(9/14)されましたが、採取時期や回収方法を変えるだけで予想以上の除染効果があることが、除染プロジェクト(大豆・ひまわり・菜の花)で分かりました。

公表された実証実験の場所は放射線濃度が高い場所で、さらに、ヒマワリの開花時期に計測されました。
しかし、ヒマワリに実が付き、頭が垂れるまで生育させた後であれば、約10倍も吸収されていることが下記のデータでも示されています。

「雑草」 放射線量 約40%減

汚染地域の水田は雑草が生い茂り、荒涼とした風景になっています。それらの水田の雑草を刈り倒した状態で測定すると、4.044マイクロシーベルト。その刈り倒した雑草をきれいに取り除いて測定すると2.25マイクロシーベルトと大幅に数値が下がりました。

土壌中から1,831ベクレル、雑草から1,719ベクレルのセシウムが検出されていることから、セシウムを吸収した雑草を回収するだけでも大きな効果があることがわかります。

例えば、1㎡あたり2㎏の雑草が生い茂っている田んぼであれば、雑草を刈り払って外部に持ち出すだけで10aに飛散したセシウムを1719ベクレル×2000kg(2kg×1,000㎡)=3,438,000ベクレル回収できる計算になります。

「ひまわり」放射線量 約37%減

ひまわりに吸収されたセシウムは、下記の順でセシウムを多く蓄えます。

【子実】289㏃ > 【花弁】 282.5㏃ > 【葉】 131.6㏃ > 【茎】 90.4㏃ > 【根】 5.4㏃

≪作付前土壌≫ 4,090㏃  → ≪作付跡土壌≫ 2,590㏃

≪ヒマワリ油≫ 検出せず (搾油粕656㏃) ヒマワリ油には全く移行しないことも明らかになりました。(2次利用の可能性)

植物による除染

事故後20年以上になるチェルノブイリでの同様の実験では、セシウムの土壌吸着(土との結びつき強い状態)が進み、「なたね」に吸収されるセシウムはほんのわずかのようです。しかし1年間にわずかでも溶出したセシウムを菜種が吸収するため、その後に育てた作物が吸収する量を大幅に減らすことができます。

それに対し、事故後数カ月しか経っていない日本での実験で、植物によるセシウムの吸収が約40%もあったという結果は、早い段階であればセシウムがまだ土壌に強く吸着されていないため、大幅に土壌からセシウムを回収することができるということでもあります。

土壌の表面を削ることは、濃度を下げる方法としては効果がありますが、削った土を保管・処分する場所がないのが現状です。
それぞれの汚染地域で状況が異なるなか、濃度や状況によって除染方法を使い分け、対応していくべきだと思います。

焼却灰処分問題

前にもご案内したように、除染の遅れによる問題も出ています。
雨などで流された汚染物質は下水処理施設で処理されます。溜まった汚泥は脱水して固形化され、それを焼却施設に持って行きます。焼却施設では高濃度化した焼却灰(スラグ)の一時保管が深刻な問題となっています。

※8,000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の焼却灰等の処分方法に関する方針について 2011/8/31 (環境省 PDF

お米マイスターも応援していきます!

この除染効果を踏まえ、植物による除染プロジェクトが本格的に開始され、どんな作物を栽培しても検出されないレベルに引き下げられるまで応援をしていきたいと思っております。