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食の安心(米トレーサビリティー事例)
2012年03月05日
食品を扱う会社からの依頼で、米のトレーサビリティに関する取組みについて講演してきました。
日時: 平成24年3月5日(水)15:00~16:30
場所: 川越西文化会館(メルト)
【講演】
トレーサビリティの事例(五ツ星お米マイスター 金子真人)
消費者の「食の安全・安心」に対する意識が強くなり、食品を流通・販売する側のさらなる管理の徹底が求められています。
その中で、「表示」や「米トレーサビリティ」に関する当店の取組みを紹介しながら、食の“安全”や“安心”について考えました。
食品表示関係法令
表示の義務では、JAS法、食品衛生法、計量法、牛トレーサビリティ法、米トレーサビリティ法、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律があり、表示方法を定めている法律(任意)は、健康増進法、景品表示法、不正競争防止法、有機JAS法があります。
品質表示基準では生鮮食品品質表示基準、加工食品品質表示基準、遺伝子組み換え食品品質表示基準があり、生鮮食品表示基準の特則として3品目(この中に、お米に関連する玄米及び精米品質表示基準があります。)、加工食品品質表示基準の特則では46品目もあり、複雑すぎ消費者には逆にわかりづらくなっているのではないかと思います。
米のトレーサビリティとは?
米トレーサビリティ法(農林水産省)は、簡単に言うと、一般消費者まで「産地情報伝達」と問題が発生した場合の「流通ルートの特定・回収」ができるよう記録することです。
国内産米においては、この米トレーサビリティ制度が始まる前からJAS法(玄米及び精米品質表示基準/農産物検査法)により産地の特定をすることはできていました。
では、なぜこの制度が導入されたのでしょうか。
事故米の不正転売
平成20年におきた「事故米不正転売問題」では、輸入した外国産米(MA米)のうち、農薬などに汚染され工業用の用途に限定していた事故米を、食用として販売していました。
さらに、その販売された事故米がその後どのような流通経路をたどって販売・消費されたかという詳細についても正確にわからなかったのです。
このことから、流通経路の記録を保存することで、問題が起きた時に、速やかな特定と回収ができるようになり、今までは産地の表示基準がなかった「米飯・米加工品」の原料米の産地についても一般消費者が把握できるようになりました。
身近にある米トレーサビリティ
具体的には、コンビニなどで買うお弁当の原材料で「ご飯(国産米使用)」といった記載を見ることがあると思います。これは、「国産のお米のみ使用しています」という意味です。
今までお弁当やおにぎりなどの米飯類は、国産米も外国産米も表示する必要がなかったので、外国産米を使用している場合はその国名が表示がされるようになります。
日本農業の強みとは「魅力・安心・信頼」
最近では、安くて品質・食味が高い中国産米などが業務用として一部使用されているほか、一般消費者にも低価格帯のお米として販売され始めました。このままでは、国産の低価格帯のお米(特に未検査米)は外国産米にその地位を奪われかねません
農業は食べ物を作るだけでなく、生産活動を通じ、国土保全、水源のかん養、生き物を育む、景観、文化の継承など多面的な機能があり、農地、森林、海域は密接につながっています。農業規模を数値だけで判断(木を見て森を見ず)してしまうと失敗につながりかねません。
外国産米に対して高品質、美味しさの追求だけではすぐに追い越されてしまいます。そのためにも日本の強みである、魅力(環境保全・
再生、新たな試み:品種改良)、安心(安全:栽培・製品)、信頼(まごころ・丁寧・アフターフォロー)を伸ばさなければならないと思います。これは農業だけではなく、企業にも言えることではないでしょうか。
トレーサビリティは、消費者が安心できる情報を提供するための一つの「表示方法」です。今の日本は表示など、問題対処に力を入れすぎてしまい、「農政(本質)」が他国と比べ遅れています。今からでもどんなお米が消費者に求められ、そのためにはどうすべきなのか、また、次の世代につなぐ環境などを消費者、生産者の理解を得ながら実行していかなければならないと思います。
食べるためだけの“お米”ではなく、様々な恩恵がある日本の稲作を子どもたちへと受け継いでいくためにも、日本のお米を食べて応援していきましょう!