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「令和の米騒動」第3弾 ~備蓄米の炊き方~
2025年06月16日
米不足が続くなか、「備蓄米の炊き方」に関するメディアからのお問い合わせが増えています。今回は、「令和の米騒動」シリーズ第3弾として、備蓄米の特徴やおいしく炊くための工夫をご紹介します。
農協による集荷量が全国的に減少するなか、昨年の収穫後には、産地から「契約取引」で予定していた数量も、集荷量の減少を理由に一部カットされるとの連絡が相次ぎました。この不足を補うため、「スポット取引」での調達が増加し、その結果、「スポット価格」は異常な水準まで高騰しました。
こうした状況のなか、政府が備蓄米の放出に踏み切ったことは、価格の過熱を抑える有効な対策のひとつとなりました。実際、スポット価格は落ち着きを見せ始めており、一時的ながらも市場の安定に寄与しています。
しかし、これまでの不足を受けて契約分の在庫も前倒しで消化されており、新米の入荷を前に、在庫が持たなくなる現場も増えており、すでに数量制限や完売といった事例も各地で見られるようになってきました。
🌾 備蓄米=“ひとつ品種”ではない
「備蓄米って、どんな味なんだろう?」と気になっている方も多いかと思います。
実際のところ、備蓄米には全国各地の産地・銘柄のお米が含まれており、それぞれに異なる特徴があります。
備蓄米(令和6年産・5年産)【第2回入札】
産地 |
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県、滋賀県、鳥取県、島根県、岡山県、徳島県、福岡県 【24県】 |
銘柄 |
はえぬき、ひとめぼれ、こしいぶき、まっしぐら、コシヒカリ、あきたこまち、ななつぼし、ゆきん子舞、てんたかく、てんこもり、ハナエチゼン、天のつぶ、ふっくりんこ、まなむすめ、きらら397、えみまる、ゆめぴりか、ふさこがね、ゆめみづほ、にじのきらめき、あきさかり、あきだわら、おぼろづき、あいちのかおり、ササニシキ、ゆめおばこ、そらきらり、きぬむすめ、大地の風、ハツシモ、あさひの夢、アケボノ、とちぎの星、ほしじるし、風さやか、つきあかり、彩のかがやき、彩のきずな、ほしのゆめ、夢つくし、つや姫 【41品種】 |
年産 | 令和6年産・令和5年産 |
等級 | 1等、2等、3等 |
備蓄米(令和5年産)【第3回入札】
産地 | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県、高知県 【23県】 |
銘柄 |
まっしぐら、天のつぶ、ひとめぼれ、コシヒカリ、めんこいな、ゆきん子舞、あきたこまち、ゆめみづほ、はえぬき、ハナエチゼン、里山のつぶ、こしいぶき、ゆめおばこ、ゆめぴりか、萌えみのり、とちぎの星、まなむすめ、きらら397、ふっくりんこ、あさひの夢、ななつぼし、えみまる、あきさかり、アケボノ、あきだわら、ちほみのり、ふさこがね、つがるロマン、てんたかく、ハイブリッドとうごう4号、チヨニシキ、いわてっこ、なすひかり、ササニシキ、ほっかりん、銀河のしずく、げんきまる、おぼろづき、日本晴、にじのきらめき、ハツシモ、みずほの輝き、てんこもり、ハイブリッドとうごう3号、みえのゆめ、ゆきの精、キヌヒカリ、風さやか、かけはし、どんぴしゃり、サキホコレ、きたくりん、彩のかがやき、能登ひかり、つきあかり、ミルキークイーン 【56品種】 |
年産 | 令和5年産 |
等級 | 1等、2等、3等 |
※農林水産省による入札結果より
このように、備蓄米には非常に多くの産地・銘柄・年産・等級のお米が混在しています。
しかも、「備蓄米」として提供される際には、これらの指定をすることができず、順次出荷されていきます。まさに、これだけの産地、銘柄のお米が“備蓄米”というわずか3文字でひとまとめにされているのです。
当然、産地や銘柄、品質、栽培方法によってお米の特徴も異なり、それに合わせた炊き方も変わってきます。
今後、「随意契約」による備蓄米についても、令和4年産(古古米)、令和3年産(古古古米)といった在庫が順次放出される見込みですが、私自身も古米までは試してきたものの、それ以前の年産については実際に試せていないため、状態を把握するには手元にないと判断が難しいのが実情です。
加えて、これだけの産地、品種の違いがあることからひとくくりに語ることはできません。
🩺古米化とは? 炊き方の“処方箋”
備蓄米は基本的に低温保管(15℃以下)されており、古米化の進行は比較的緩やかで、かつてのような著しい劣化は見られにくくなっています。
また、備蓄米ではないお米ですが、収穫後に籾のまま保管する「籾貯蔵」や、北海道などでの「超低温貯蔵(0℃以下)」も普及しており、鮮度、美味しさを追求している産地もあります。
ただし、保管年数や作柄によっては、水分が抜けたり、デンプンや脂質が劣化することで、給水率の低下、ご飯の硬さ、古米臭の発生など、炊きあがりに明確な差が出ることがあります。
特に「古古米」や「古古古米」になると、その状態には個体差が大きく、画一的な炊き方のアドバイスは難しいのが実情です
そのため、本来はお米の状態に応じた“処方”を見極めることが重要であり、汎用的な対応では限界があるということも、あらかじめご理解いただければと思います。
🔍「古米化」による変化と対策
状況・特徴 | 対策例 |
---|---|
水分が抜け給水しにくい | 炊飯水の水を増やして調整 |
ご飯が硬くなる |
・通常よりも5~10%多めの水で炊飯 ・冷水で30分~2時間程度浸漬 ※炊飯器によって異なる ※通常品質のお米に限る |
ツヤが出にくい[透明度の低下] |
「米油」を少量加えてみる |
古米臭(においが気になる) |
「酒」または「みりん」を少量加える |
旨みに乏しい | 「昆布」・「昆布粉」を加え、うま味補う ※銘柄米(古米)テスト:昆布1cm×1cmくらいが適量 |
🍚古米臭が気になる場合
丼ものや肉料理、タレのあるおかずと組み合わせると臭いが目立たず、ごはんの食感も楽しめ、美味しく召し上がれると思います。
また、多くの炊飯水で、硬い米粒の中まで水が浸透し、しっとりと滑らかな食感になります。一方で、火力の弱い炊飯器では、水が増えた分、十分に短時間で飛ばしきれず、全体的に柔らかく、水っぽい仕上がりになってしまいます。
そのため「火力の強い炊飯器」であれば、多くの水でお米粒に浸透させ、沸騰時には余分な水分をしっかり蒸発させることができるので、ごはんにハリとツヤ、甘みのあるごはんに仕上げることができます。
※炊飯器の炊飯目盛りも炊飯器それぞれで水の量が違う設計になっています。
🧑🍳簡単にできる“ブレンド”という工夫
今、出回っているお米は、「比較的新しい原料のお米」でそれほどの差を感じない場合もあります。
とはいえ、どうしても口に合わない、または炊き方の工夫が難しいと感じる場合は、令和6年産米とブレンドする方法もおすすめです。
たとえば、3合炊く際に、
「備蓄米2カップ」+「令和6年産1カップ」
のようにブレンドすると、全体の味わいがぐっとまとまりやすくなります。
備蓄米は、震災や不作、今回のような米不足といった非常時の供給を支える“セーフティネット”として、重要な役割を果たしています。
その一方で、銘柄や産地を選べないお米であるという制約もあるため、調理にはひと工夫が求められます。
だからこそ、その違いを理解し、炊き方や使い方にほんの少し手を加えるだけで、日々の食卓はより豊かに、心地よいものになるはずです。
これまで、それぞれの産地が特色あるお米づくりに取り組み、創意工夫と努力を重ねてきました。
しかし、備蓄米のように「安ければ何でもよい」、「5キロで2000円台」という意識が広がってしまえば、これまで真摯に“おいしいお米づくり”を追求してきた生産者の努力が報われなくなってしまいます。
お米は、年に一度しか収穫できない農産物です。
今こそ、日常的にお米をしっかり食べ、消費量を維持・増加させていくことが、将来の安定した米づくりにつながると信じています。